伊勢湾と三河湾に囲まれた南知多町沿岸は魚の宝庫だ。地元でしか生を味わうことができないカタクチイワシを、塩とオリーブ油で漬けたアンチョビーに加工して売り出している「まると水産」5代目、與吾(よご)泰史(たいし)さん(27)は「おいしい魚をみんなに味わってほしい」と丁寧な仕込みを続ける。
まると水産は、豊浜漁港で140年以上続く老舗だ。與吾さんは大学を卒業後、名古屋の商社に勤務。カーナビの記憶装置の営業を3年間していた。同僚と名古屋の居酒屋で食べる魚は、南知多の新鮮なものとは全くちがうものだった。
「おいしい魚を都会の人に提供したい」と2年前、会社を辞めて家業に就いた。父英彦さん(57)の指導でアジやフグ、イワシ、アナゴなどのひものづくりに取り組んだ。新鮮な魚の仕入れと塩加減が難しい仕事だった。
「何か新しいものをやりたい」と思い続けていた與吾さんが目を付けたのが、大量に取れるカタクチイワシだった。南知多町では年間1万8000トンが水揚げされる。刺し身は、イワシの中で最もおいしいと言われるが、消化酵素が多いため、すぐにはらわたが溶け始める。食用とされるのは1割程度。残りは養殖魚の餌になる。
アンチョビーはイタリア料理の前菜やサラダ、ピザなどで使われたり、ソースの隠し味になる。イタリアなどでは、はらわたやうろこを取らずに最初から塩漬けし、少し発酵させてから、後ではらわたや骨を取り除く。
だが、與吾さんのやり方は違う。鮮度保持のため氷水の中で丁寧にうろこを落とし、カッターナイフで三枚におろす。身と皮の間にうまみがあるため、皮はきれいに残す。半年塩で漬け込んで、瓶詰めするときにイタリア製の高級エキストラバージンオリーブ油に漬ける。
目指すのは、日本らしい繊細で新鮮なアンチョビーだ。「イタリアと同じものを作っていたら、勝てるわけがない」。塩加減で失敗したこともあったが、次第に安定した出来になってきた。
知多半島の食材でイタリア料理を作る「知多イタリアン」の農商工連携プロジェクトにも参加し、「ボナペチ」(イタリア語で「召し上がれ」)の統一ブランドのラベルを付けている。
小売りは100グラムの瓶詰め840円のみ。店頭と地元のスーパーでの販売のほかインターネット販売もやっている。名古屋や県内のイタリア料理店で、前菜やサラダに使われている。数十瓶しか残っていないので、小売りは絞り込んでおり、現在仕込んでいるものは11月から販売できる予定だ。
與吾さんは12〜18日、東京の百貨店で開かれる名古屋物産展にアンチョビーを出品している。「東京の人たちにこのおいしさを知ってもらい、豊浜の新名物として『日本一のアンチョビー』に育てたい。そして、豊浜の活性化と魚の消費増を図りたい」と意気込む。【三鬼治】
◇いっぴんメモ
21日午前9時から、南知多町の豊浜漁港の魚市場を中心に「おいなぁ市」が開かれる。豊浜まちづくり会が企画し、異業種が一体となって取り組む産直イベント。「おい、ちょっと寄っていきなぁ」という意味だ。漁があれば、カタクチイワシもしくはコウナゴの鮮魚の販売も予定されている
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